http://scholars.ntou.edu.tw/handle/123456789/16498
標題: | 高齢者福祉利用者の法的位相に関する一考察 | 其他標題: | A Study on Legal Status of elderly Welfare User | 作者: | 林倖如 | 公開日期: | 30-三月-2018 | 出版社: | 名古屋大学大学院法学研究科 | 卷: | 277 | 起(迄)頁: | 163-182 | 來源出版物: | 名古屋大学法政論集 | 摘要: | 日本では、高齢者福祉に係る制度形成の歴史を遡って考えてみれば、制度的な意味での高齢者 は、1963 年老人福祉法(昭和 38 年 7 月 11 日法律第 133 号)の制定によってはじめて現れた。すなわち、老人福祉法の制定により、ある程度共有したニーズをもつ 65 歳以上の者が利用者として措定されており、加齢による生活障害に対応する財やサービス提供の必要性が法的に認められるようになり、またそして、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利の保障方法としては、一定の資格や条件を満たした高齢者を選定してそれらの生活に欠かせない福祉サービスや財を公的に提供するといった高齢者福祉の利用者像が描かれてきた。しかしながら、事実上存在している高齢者の実態は様々であり、その姿が時代とともにたえず変化しつつある。それに、人口の高齢化に伴う高齢者の生活需要増の問題は、今までの法制度が想定していなかった一方、かかる制度がその前提としてきた諸条件を変えてしまうこともある。このように、高齢者福祉制度に現れる「制度化された高齢者像」と「事実上存在している高齢者の実態」との乖離 は、法形成に由来する内在的矛盾である。そして、いかにして高齢者の生活実態に法制度を接近させるかという問いは法的課題である。 1980 年代の社会保障「再編」期 、これとは異なる 1990 年代以降の 社会保障構造改革を経てきた今日の高齢者福祉制度は、2000 年から介護 保険の導入により、「措置から契約へ」というフレーズに見られるように、 契約による利用関係を生みだした。ここでの利用者は福祉サービスの契約 当事者と位置づけられ、消費者として捉えられる存在である。確かに、介護保険制度では、高齢者が自己の意思にもとづいて契約によって介護サー ビスを購入できることを通じ、従来の措置利用と比べた場合には利用者の 「主体性」が強化され、介護サービス利用をめぐる権利性が高まるという 構図が描かれている。しかしながら、高齢者の生活実態は様々であり、す べての者が自律的・自己決定できる個人とは限らない。従来の措置制度に おける高齢者とは異なるかについてさらなる法的検証が求められる。 ここでは、実定法上高齢者がどのように捉えられるか、また、それと事 実上の高齢者の生活実態との乖離がどのぐらいあるか、という考察は、か かる権利問題の所在である。かかる考察を通じ、高齢者の権利状況を把握 して高齢者福祉利用そのものの本質を見極めることが可能である一方、ま た、この乖離の現実を見据えることで、かかわる権利課題の実質的実現に さらに一歩近づくことにもなると考えられる。よって、その権利保障方法 の方向性の発見をも導くことができるであろう。 本稿は上記の問題意識を念頭におきながら、制度上定められた高齢 者像の解明作業を行うものである。転換期にある日本の高齢者福祉制度を 検討素材にして、高齢者福祉をめぐる利用者の法的地位を析出して「制度 化される高齢者像」と「事実上存在している高齢者の実態」との乖離とい う法制度の内在的矛盾を明らかにしながら、高齢者福祉そのものの本質を あらためて確かめようとするものである。 |
URI: | http://scholars.ntou.edu.tw/handle/123456789/16498 | ISSN: | 0439-5905 | DOI: | 10.18999/nujlp.277.8 |
顯示於: | 海洋法律研究所 |
在 IR 系統中的文件,除了特別指名其著作權條款之外,均受到著作權保護,並且保留所有的權利。